ふと本が読みたいと思う事がある。
衝動なのか、あるいは習慣になってしまったのか分からないけれど、ふらっと本屋に入り本を読みたくなる。
これはその衝動に駆られて買ったものであり、作者買いをしたわけではない。
強いて言うならキャラクターが目を引いただろう。
「……キャラクターが尖っていて面白い」
ヒロインの行動が度し難い。完全なるストーカーである。P9で既にドアを破壊しましたとある。怖い。
確かに朝目覚めたら彼女が料理をしているのは一種の憧憬だろう。その幻想をぶち壊しにきている。
主人公の姉もまた、何というか破天荒だ。男を見る目がなく、しかして有能であ。
そのおかげで主人公が生きていられるのだから、彼らの関係はある種のバランスが出来上がっているのだろう。
そうして読み進めていったのだがなんだこれは。
推理パートになり、主人公は一種のワトソンを演じている。主人公は謎を解かない。むしろ犯人扱いされたりするし、どちらかというと不幸だろう。
彼の視線からみたら何でだよ!ってなる事ばかりだし。
だかそれを救うのがヒロインの彼女である朝比奈うささぎ大学生の一年生だった。
——好き好き大好きな主人公の為ならば幾らでも頭が働く。
恋をする女性は強くとはいえ、ここまでくると脱帽だった。
そしてこの尖ったキャラクター性こそが面白いと思った。
正直に言おう——僕は推理ものは好きだけど、それは驚きが好きなのであって考えるのは別にそれ程求めていない。
「推理こそを求めている人からしたら怒るだろうなぁ」
しかし——事実である。
僕は感情を揺り動かされる話や尖ったキャラクターが織りなす面白いが好きなのだ。
その為にこの朝比奈うさぎは非常に面白い。
初めから暴走気味。
うさぎといいつつ、超猛突進。
だがしかし、その根底にあるのは主人公である迅人への好意である。
——彼の役に立ちたいっ!
そういった声さえ聞こえてくるような行動と、くるくる変わる喜怒哀楽は読んでいて楽しい。
いやまぁ、とはいえドア壊すのは怖い。強引過ぎる。
しかしながらその明るさや場違いともいえる勘違いの発言が辛い話を軽くしている面もある。
特に最後——四話目、最後の話は犯人の背景が辛いが故に余計かもしれない。
無論の事、推理ものは悲しい事態が付き物で、数ある中からみれば路傍の石の様な理由だろう。そしてそれは必要な事なのかもしれない。
だがしかし、それは個人とは関係がない事だ。
そうした後味の悪さを彼女達の関係が吹き飛ばしてくれている。
「うん。良かった」
人の好みから判断すると、好きな人と嫌いな人は強く分かれるかもしれないが、僕は面白かったと思う。
ところで大学生新妻ストーカー気味の彼女ってどこで手に(ry